ミミ、ダンボールの城を建設す。ハチは隣で…
ミミニャー、ここに立ち寄ってくれてありがとう。
今日のこの家は、少し騒がしかった。
理由はただ一つ、人間が大きなダンボールを運び込んだからだ。人間は、あれをすぐにゴミとして捨てようとするから、私は慌てて城を建設しなくてはいけなかった。



ミミ、そんなに急いでどうしたんだい?
隣でマイペースに寝ているハチが、眠そうに声をかけてきた。



見ればわかるでしょ! この城を完成させないと、人間が壊してしまうのよ! この最高に居心地のいい空間を!
私は必死に、ダンボールの入り口を広げ、中に体を滑り込ませた。この少し狭い感じ、背中が壁に当たる安心感…。これこそ、私が求めていた完璧な場所だ。



ふーん。僕にはよくわからないな。そんなに面白いかい?
ハチは、僕が何時間もかけて完成させた城に興味を示さない。



面白いとか、そういう次元じゃないわよ! これは生きるために必要なの。あなたも入ってみたら、わかるはずよ!
私はハチを城に誘ってみるが、彼は相変わらずクールだ。



いや、僕はいいや。日向ぼっこの方が気持ちいいからね。それに、君がそんなに夢中になるのが、僕には不思議でならないんだ。どうして人間がわざわざ運んできたゴミの箱が、そんなに魅力的なんだい?
ハチのその言葉に、私はハッとした。確かに、人間はあれを「ダンボール」と呼んで、何の価値もないものだと思っているようだ。でも、私たち猫にとっては最高の宝物。この違いは一体何なんだろう?
なぜ猫はダンボール箱を好むのか? 7つの理由
ミミとハチのやりとりにもあったように、猫はなぜかダンボール箱が大好きです。新品の豪華なベッドよりも、古ぼけたダンボール箱に夢中になる姿を見て、「うちの子だけかな?」と思った飼い主さんも多いのではないでしょうか。実は、これには猫の習性に基づいた明確な理由があります。
1. 安心できる隠れ場所
猫はもともと、狭くて暗い場所を好む習性があります。これは、外敵から身を守るために身を隠す本能的な行動です。
ダンボール箱は、猫の体にぴったりとフィットするサイズで、四方を囲まれているため、猫にとって最高の隠れ家となります。
ダンボール箱の中に入ると、まるで自分が安全な場所にいるような感覚になり、ストレスを軽減することができます。
2. 体温調節のため
猫の平熱は人間より少し高めの38℃前後。寒さを感じやすいため、温かい場所を探して休むことがよくあります。
ダンボールは断熱性が高く、外の冷気や床からの冷えを遮断してくれます。
特に冬場は、ダンボール箱の中がポカポカと温かく、快適な昼寝スポットになります。
3. 爪とぎの欲求を満たす
ダンボールの表面は、猫の爪とぎに最適な素材です。
爪とぎは、爪の古い層を剥がして鋭く保つだけでなく、マーキング(自分の縄張りを主張すること)やストレス解消のためにも行われます。
新しいダンボール箱が届くと、真っ先に爪を立てて試すのは、猫にとってごく自然な行動なのです。
4. 狩りの本能を刺激する
猫は生まれながらのハンターです。
ダンボール箱は、獲物を待ち伏せたり、飛びかかったりするのに最適な場所。
箱の中に隠れて、通りかかる人間や他の猫、おもちゃなどをじっと見つめ、獲物が油断した隙に飛び出す…そんな狩りのシミュレーションをすることで、猫は本能的な欲求を満たしています。
5. 匂いを嗅ぐことで安心感を得る
猫は、自分の匂いがついた場所に安心感を覚えます。
ダンボール箱に体を擦り付けたり、中でお昼寝をしたりすることで、自分の匂いをつけていきます。
これは、その場所を「自分の縄張り」と認識するマーキング行為でもあり、安心できる空間を作り出すために欠かせない行動です。
6. 新しいものへの好奇心
猫は新しいもの、特に見慣れない匂いがするものを好奇心旺盛に探求する習性があります。
ダンボール箱は、外の世界から運ばれてきた新しい「モノ」。
どんな匂いがするのか、どんな感触なのか、どんな形をしているのか…猫は五感をフル活用して、その正体を探ろうとします。
7. シンプルに「楽しい!」
難しい理由は抜きにして、ただ単純に楽しいから、という側面もあります。
ダンボール箱は、中に入ったり、上に乗ったり、かじったり、遊んだり、色々な使い方ができます。
猫にとって、ダンボール箱は飽きることのない最高の遊び道具なのかもしれません。
飼い主はこう思っていた? ダンボール箱の真実
ミミとハチの物語を通して、猫がなぜダンボールを好むのか、その理由をたくさん見てきました。最後に、この不思議な行動を「飼い主の視点」から考えてみましょう。



ああ、やっとAMAZONで商品が届いた…。 せっかく新しいおもちゃを買ってあげたのに、見向きもしないで…。ダンボールになぜ入るの?この子たちにとって、ダンボールは一体何なんだろう?
そう、カイヌシはいつも、少し複雑な気持ちでその光景を見ています。しかし、今日でその謎は解けました。私たち人間がゴミだと思っているダンボールは、猫にとっては以下のような大切な意味を持っていたのですね。
- 安全な場所:ストレスから解放される、誰にも邪魔されないプライベートな空間。
- 暖房器具:体温を保つための、自然な温かさを提供してくれる。
- 爪とぎ器:本能的な爪とぎ欲求を満たす最高のアイテム。
- 狩猟場:獲物を待ち伏せ、本能を解き放つ秘密の場所。
- 匂いの図書館:自分の匂いを付けて、安心できる縄張りとして認識する場所。
- 探検道具:新しい匂いや素材を探求する、尽きない好奇心を満たす道具。
- 遊び場:シンプルに楽しむための最高の遊び道具。
ミミとハチのやりとりから、私たちは猫の「ダンボール愛」の奥深さを知ることができました。もしあなたの愛猫がダンボールに入っていたら、それは「最高の居場所」を見つけた証拠です。場所的に問題がなければ無理に壊したり、奪ったりはせず暖かく見守ってあげてくださいね。
ミミとハチも、今日もきっとどこかで、新しいダンボール箱を探していることでしょう。
最後にミミから一言





ねえ、ハチ。わかった? 人間は、このダンボールの城が、私たちの命を守る大切な場所だということを、ちゃんと理解してくれたみたいよ。これで安心して、お昼寝ができるわね!

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